鈴木おさむ 考えるラジオ 11/09/24 ゲスト:カリカ林

【芸人・カリカ林さんについて考える】
http://www.tbsradio.jp/osamu954/2011/09/924-3.html
もう1ヶ月以上経ってますけど、これを取り上げたいと思います。


このラジオを最後に芸人を引退し、実家の旅館を継ぐカリカ林さんがゲスト。

林:現役で芸人をバリバリにやってた頃にほとんどTBSラジオ出たことないんですけど、出ようと思っても出れないのに辞めるってなったらこんな簡単に出れるんですね!

途中芸人の世界から逃亡してタクシー運転手をやっていた時期もあったが、20歳の時から14年半。
なぜ今芸人を辞めるのか?

林:自信が無くなったっていうのが一番ですね。
鈴木:それはなぜですか?自信が無くなったのは。
林:食えてない(生活できていない)こととか差っ引いても自分には実力があると思い続けて生きてきてたんすけど、なんかこうふとテレビを見てたりした時に、後輩であり先輩でありみんな活躍してるのを見て「あれ?僕ここまで到達するのにあと何年かかるんだろう?」とか「この人達との差はものすごい大きいんだろうな」っていう時に、初めて後ろを向いてしまったというか。その時に「あっ、俺もう34歳だしリスタートするんだったら今なのかな?」っていう形で「辞めよう」に至ったという。

◆0から1

先輩芸人含めいろいろな人から「面白い」と言われていたカリカ

鈴木:難しいのがやっぱね、僕言われるんすよ。「じゃあカリカ使ってあげればいいじゃん、テレビで」って言うんですけど、これ非常に難しいんだけど、0から1っていう所ね。例えばキングオブコントで優勝するとかM-1で優勝するとか、0から1を必ず自分達で卵から産まれないと。そっからアシストは出来るわけですよ。だから南海キャンディーズM-1で準優勝か?なんかなってウワーって騒ぎになって、ああなったらいろんな番組でアシストは出来るんだけど、0→1を手伝ってあげることは出来ないから、僕は非常にずっとカリカのそれを待っていたりとか。いろんな人待ってたと思います。それを。

実際、0から1へのアシストを受けている人もいますよね。
でもそういう人には世間の目は厳しくならざるを得ない。
ただ、稀にそんな人の中から本当の実力が認められて一人立ちするケースもあるので、その辺の考え・判断は難しいですね。


◆先輩芸人達からのメッセージ

林さんの引退に先輩芸人から電話や録音でメッセージが。
ガレッジセール川田、カンニング竹山、ペナルティ・ワッキーロンドンブーツ1号2号田村亮カラテカ入江、千原ジュニア
みんな一様に「もったいない」と口を揃える。
そんな中でも個人的には竹山さんとジュニアさんの話が特別心に残るものでした。


竹山さんは林さんの実力を高く評価していた一人。
竹山さんも「もったいない」「サンミュージックならトップを張れる」と笑いを混じえて話す。
しかし、林さんの芸人を辞めるという決断については

竹山:僕は潔いと思います。(中略)結局、売れる原因は何か、売れるためにはどうすりゃいいかって話になってくると思うんですよ。みんながみんな売れるわけじゃないじゃないですか。こういう仕事って。そこで自分のメンタルって一番重要だと思うんですよね。「自分はまだ成功してないけど大丈夫なんだ!」って思い続けられる心。それが続く限りはやった方がいいと思うんですよ。でもそれが折れた時に「ダメだ」って思って、それが「再生不可能だな」って自分の中で何かが途切れちゃった時っていうのは本当に終わる時だと思うんですよね。中途半端に考えるんじゃなくてですよ。考えて考えたけどやっぱり何か途切れたと、一本折れちゃったと。そっから続けるのってどんどんやっぱり自分も苦しくなるばかりだと思うんですけどねぇ。だからこそ、あのー、やり続けなきゃ売れないっていうのはそういうことだと思うんですけどね。逆にね。
鈴木:辞めたら終わりですよね。

林さんから竹山さんへ

林:「食えてる人間に言われても分かんないだろうけどね」っていう言い方をしてくれたんで竹山さんは。「俺も食えちゃってるからあんまり偉そうなこと言えないんだけど」っていう。「売れてない芸人の心境は売れてない芸人にしか分かんないからね」っていう言い方をしていただいたのが凄くありがたくて。ずっと僕の目線に下がって下がってしゃべっていただいたな、っていう。

最後に竹山さんから

竹山:林くんは「これでもう縁が切れます」みたいな感じで話してきたんですけども、僕も40ですし林くんも30半ばなんで「そうじゃねーよ」って話をしたんですよ。一回仲間として僕らは成立したんで、何年も前から。だから職業は変わるけども、芸人云々の前に人間としての仲間っていうのは繋いでいかないと駄目だと僕は思うんで。今後とも繋がりはもったまま僕はいきたいと思います。それと同時に将来的に僕が例えば犯罪かなんか起こして雲隠れしたい時にたぶん旅館に行くと思うんで。
林:ハハハハハ
鈴木:そうですね。ちょうどいいです。
竹山:お願いします。

竹山さんも圧倒的な才能で売れたタイプではなくて、売れたのも運とか偶然という部分は少なからずあると思うし、長く売れない期間も経験してる芸人。更にはコンビとしてちょっと売れた後にもいろいろあって今の地位を築いた人。だから話に深みがあるし、人間性の素晴らしさも感じられますよね。この人間性の素晴らしさが竹山さんの成功をもたらした要因のひとつでしょう。世間一般のイメージより大きな人だと僕は思っています。


千原ジュニアさんのコメント。
林さんとはカリカのデビュー直後からの付き合いで、1ヶ月に22日一緒にいたこともあるという程親しい仲。

ジュニア:僕は今まで数々、いろんな芸人さんが辞めるという話を一般的に公表する前に聞かされたことが過去何度もありましたが、今までは何も言うこともないかなと「あぁそうですか」という返事しかしなかったんですが、この林の場合は初めて「ちょっともう一回考え直さへんか?」と。僕がどう見てもちょっと…惜しい状態というか、もうもうゲートに入ってる状態であとはいつそのゲートが開くねんみたいな、ゲート開き待ち状態やなというのが僕が芸人として非常に感じてたんで、余りにももったいないんじゃないかということで…うーん、思ったんですが。
(中略)
まぁまぁ、いろんな考え方があると思いますが僕自身は芸人を辞めるということの才能、『辞める才能』なんていうのは絶対この世に無いので。才能が無いから辞めるんじゃなくて、辞めるから才能が無いんです。凄く残酷な言い方ですけども、林は辞めると。辞めるからあなたには才能が無かったんです…と僕は思います。『やり続ける才能』はあっても『辞める才能』は絶対に無いですから。

『辞める才能』は無い!なんだか『夢を諦める才能』の存在を真っ向から否定したともとれる発言。
僕は痛快、というかスッキリしましたがw
芸人としての才能があっても、売れるまでやり続けることが出来ずに辞めてしまう、ジュニアさんはそれが即ち才能がないということであると。
やり続けることの大切さ、竹山さんも語ってましたね。
以前Quick JAPANバッファロー吾郎・木村さんも才能がありながら辞めてしまう芸人について「続ける才能がなかったんでしょうね」と発言されていたのを思い出します。


◆長めの学生時代

番組の最後に打ち上げ・送別会実行委員長、林さんの相方カリカやしろさんが電話で登場。
カリカ解散、林さん引退について

やしろ:この前飲んだ時にいろいろほんとありましたけど楽しかったと言ってくれて、僕も凄い楽しかったと思ってたので、それをもしかして楽しいと思ってなかったらどうしようと思ったことが凄い引っかかってたんで。僕はなんかほんとに高校の部活の延長じゃないですけど、ちょっと長めに学生時代15年やれたなと思って。お互いこれから就職すんのかな?っていう。僕は続けますけど。林は林で僕は僕で楽しいこと見つけて幸せになれたらなと、ほんとに思ってます。

芸人の引退というのを目の当たり(耳?)にして、いろいろと考えさせられて正直胸がグワーッとなったんですが、本当にいい内容だったと思います。
芸人でもバンドでも何でも、今あるものがいつまでもそのまま続くなんてことが当たり前じゃない。いつどうなるか分からない。分かりきってることだけど、やっている側の人はもちろん、見てる側も後悔の無いように。改めて噛み締めた番組でした。